太陽は再び昇った。「エース」棚橋弘至(41)が完全復活を告げる3年ぶり3度目の優勝を飾った。Aブロック1位として、Bブロック1位の飯伏幸太(36)と優勝決定戦で頂上決戦。35分00秒、最後はハイフライフロー3連発でとどめを刺し、来年1月4日、東京ドーム大会のメイン出場権利証を獲得した。

 「G1、優勝したぞー!G1、生き残りました。これはどういうことか。それすなわち、新日本プロレスで生き残ったということ。ここから先、東京ドーム、さらにその先まで、俺が引っ張っていきます。今日はありがとうございました!」。

 エースの帰還宣言に、G1初開催となった日本武道館は興奮のるつぼに。マイクを置いてリングを降りようとするのを許さない。「タナハシ!」の絶叫コールが、棚橋に響く。中央に戻ると、「ブドウカン! 盛り上がっていこうぜ!」と、エアギターをかき鳴らした。その後もアンコールに応え続け、最後は「逸材、完全復活、見ていてください!」と頼もしい一言で久しぶりの歓喜の夜を締めくくった。

 試合は序盤、ドラゴンスクリューで膝を攻めた。空中技に際立つ飯伏の足を奪いにいった。1月には欠場に追い込まれた右膝のけがはいまも完治しない。痛みを抱え、攻撃の選択肢は限られるなか、「考えに、考えた」攻め手で勝機を広げた。トップロープからのスワンダイブ式ラ・ケブラーダで直撃され、雪崩式フランケンシュタイナーの餌食となっても、何度も立ち上がった。

 中盤には激しい張り手の応酬。シットダウン式ラストライドのフォールをギリギリで逃れると、カミゴェもかわし、一気に加速した。ドラゴンスープレックスから、ハイフライフロー3連発。3カウントを聞くと、大の字になって右拳を突き上げた。

 「さらにその先とは?」。試合後に報道陣に問われると、待ってましたとばかりに言った。「東京ドームのメインに戻ること、これすなわち、IWGPのチャンピオンに、もう1回、なります!」。