今年最大のビッグマッチ「ミドル級頂上決戦第2弾」のゴングが迫ってきた。

WBAスーパー、WBC世界ミドル級タイトル戦(米ラスベガス)の前日計量が14日(日本時間15日)に行われ、王者ゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)、挑戦者のカネロこと元2階級制覇王者サウル・アルバレス(28=メキシコ)ともに一発でパスした。互いに向き合っての写真撮影「facetoface」では、アルバレスがゴロフキンに猛進し、そのまま額を付き合わし、関係者が制止に入る一触即発状態に。舌戦も含め、完全決着への盛り上がりは最高潮になってきた。

「第1弾」は1年前。当時3団体統一王者だったゴロフキンに、メキシコの至宝アルバレスが挑む世紀の一戦は、12回を戦い抜いて引き分けに終わった。その後再戦の機運が高まり、5月に決着戦が組まれたが、アルバレスのドーピング違反で延期となったことが、両者の因縁をより深くした。

アルバレスが陽性反応を示した禁止薬物クレンブテロールは、メキシコの家畜に使用されてはいるが、筋肉増強剤にあたる。元WBC世界バンタム級王者山中慎介さんの防衛を阻み、結果的に引退に追い込んだルイス・ネリ(メキシコ)が陽性反応を示したジルパテロールと同系統の物質で、ネリと同じようにアルバレスも「メキシコで食べた牛肉が汚染されていた」と故意ではないと主張。出場停止6カ月という短期間の処分で済んだ。

これに対し、ゴロフキンは「薬物入りの牛肉を誤って食べたという彼の主張は信じない」と批判したことで、両者は一気に敵対モードとなった。処分を終えたアルバレスは「ばかげたことに嫌な思いをしているが、それをこの試合に向けたトレーニングのモチベーションにしてきた。怒っている。でもおれは、それを試合で自分のため使うつもりだ」と憤りを隠さない。

前日計量で乱闘寸前まで高まった両者の感情は、どのようにリングで解き放たれ、どんな結末をもたらすか。WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)の動向にも大きく影響してくる決戦は、日本時間16日午前11時以降に開始となる予定だ。