ボクシングの前WBO世界フライ級王者木村翔(29=青木)が、後輩のTKO勝利をバックアップした。11日の東京・後楽園ホールで、ジムと職場も後輩のスーパーバンタム級平野伸(26)のセコンドについた。9月24日に同級1位田中恒成(23=畑中)との日本人対決で判定負け。V3失敗で王座陥落後、初めて公の場に姿を見せた。

平野は3回に右フックで右目上をカットさせ、2度目のドクターチェックでストップ。3回48秒TKOで3連勝した。平野は木村がバイトしていた同じ荒木運送で働いていて、昨年11月のデビューからセコンドについている。木村は「TKOできてよかった。ボクは何もしてない。いいもの持っている」と後輩の勝利を喜んだ。

平野は木村を「仲良くしてもらっているお兄ちゃん」という。ボクシングでもアドバイスを受け「ガードとボディーをずっと言われている。目標であり、お手本です」と頭を下げた。岩手・花巻生まれで専大北上では野球の中堅手。中学時代は投手で二刀流大谷と対戦したこともある。「びびって四球でした」と笑った。木村は「そうなんだ」と驚くと、有吉会長から「中国じゃ、メジャーに勝てない」と言われて苦笑した。

木村は世界戦直後は「燃え尽きた。引退する」とまで言い切った。「遊んでます。心の整理はついている。まだやる気は起きない。充電中」と言いつつ「またああいう舞台に立ちたいという気持ちにだんだんなってきた」。現役続行へ傾きつつある。試合のビデオも2度見て「全体的には田中君が技術で上だった。研究されていた。ボクが修正すべきところがわかった」と前向きだ。

王座から陥落はしたが、周囲の反響はよかった。「ネットでも悪口とかないし。きょうも声を掛けられる数は倍ぐらい」という。年間最高試合候補とも言われる激闘が高評価も、続行へ後押しとなっている。中国での人気も衰えることなく、試合後もイベントのオファーなどが数件届いている。中国でも稼げる魅力はまだまだ十分ある。