【ラスベガス(米ネバダ州)18日(日本時間19日)=阿部健吾】KO勝利でビッグマッチの道を開く。ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、米ラスベガスで2度目の防衛戦の公式会見に出席。同級3位ロブ・ブラント(米国)と並び立った。同席した米大手プロモーター、トップランク社のボブ・アラム氏(86)は、文句なくV2を成せば元3団体統一同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と本格的な交渉に入ると明言。来年春までに、ラスベガスか東京ドームで開催の可能性が高まった。

2日後、決戦の舞台となるパークシアター。ロビーに設けられた壇上で村田を横に置き、中央のアラム氏が最大限の賛辞を贈った。「ボクサー以外を含めても、日本で最も有名なアスリート。信じられないくらい人気がある。米国でいうムハマド・アリのような存在だ」。村田は少し照れた様子でベルトを抱えていたが、次の言葉も刺激的だった。「(ゴロフキンのプロモーターを務める)トム・ロフラー、帝拳ジムとも話をする。(試合は)早くて来年の1月から3月くらいになる」と予告した。

日本人には未踏、ミドル級でのラスベガスでの防衛戦。それだけで偉業を既に遂げているが、さらに先がある。ゴロフキンは9月の王座戦でアルバレスに僅差で敗れ、WBAスーパー、WBC王座を手放したが、評価は下がっていない。ビッグマッチを希望する村田にとっても、魅力的なプランになる。場所はラスベガスか、東京ドームの二択となるという。

会見の席上、村田は「この試合に集中してこの試合の結果で全てが変わる。先のことはまったく考えてないですね」と言った。当然、皮算用はしない。ただ、「指名挑戦者に勝てば、何かを言う権利もでる」とも話す。聖地再びでビッグマッチか、マイク・タイソン以来の東京ドームでの大規模興行か。道は続く。アラム氏も「米国で試合をすることでスーパースターになろうとしている」と本場での出世に太鼓判を押す。

会見後、珍しく公開した計量前日の最後の練習では発汗が多く、減量の順調さを物語った。「後は裸で寝て風邪をひかないようにするだけですね」。汗の水たまりの上、「日本のアリ」の最後の仕上げは本家ばりの得意のジョークだった。