ボクシングの5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)が8日、5日に発表された総合格闘技イベント「RIZIN14」(12月31日、さいたまスーパーアリーナ)での那須川天心(20)との試合を中止する意向を表明した。自身のインスタグラムで「公式な対戦には合意していない」と主張。レジェンドの心変わりに、世界に衝撃が走った。

世紀の一戦は、わずか3日で消滅危機を迎えた。メイウェザーはインスタグラムに載せた長文のメッセージで突然の翻意の理由を説明。「私、フロイド・メイウェザーは、那須川天心との公式戦には1度も同意していないことを、はっきりさせたい」と主張した。

RIZINからのオファーは、RIZINの選手を選んでの3分3回のエキシビションで「純粋にエンターテインメントで、公式戦ではなく、世界への中継もないと聞いていた」と打ち明けた。5日に、那須川と2人そろって笑顔で会見した際には、異種格闘技の原点ともいえるアリ-猪木戦を引き合いに「映像は見た。いいショーだった。オレもいいショーを見せる」と意欲を見せていた。

メイウェザーと那須川の一戦は、瞬く間に世界に広まり大きな注目を集めた。メイウェザーはボクシングで50戦無敗の5階級制覇王者。片や、那須川はキックボクシング界の神童と呼ばれ、デビュー以来キック、総合格闘技で32連勝中。メイウェザーが世界進出第1弾としてRIZINへの参戦を希望し、榊原信行同実行委員長が「天才がいると世界に知らしめたい」と、対戦相手に那須川を指名した経緯があった。

具体的なルールに関しては、今後交渉に入るとしていたが、「3分3回、エキシビション」というメイウェザーのとらえ方と、RIZINが意図した総合格闘技戦の一環=公式戦という考え方の間に、ズレがあったとみられる。メイウェザーの発表を受けて、RIZINは東京・六本木の事務所で朝から協議を行った。榊原実行委員長は「(メイウェザー)本人と話していますから」と、楽観的な見通しを示したが、広報は「先方へ問い合わせをしています。返事を待って対応します」と困惑気味に話した。

メイウェザーは「会見場に到着すると話が変わっていた。すぐ止めるべきだった。間違った情報を与えて、ファンに謝罪したい」とコメント。一方、17日のキックボクシングRISE両国国技館大会へ向けて調整している那須川の関係者は「今回のことが、17日の試合に悪い影響を及ぼさなければいいが」と心配していた。