ボクシング元WBA世界スーパーフライ級王者河野公平(37=ワタナベ)が現役引退した。21日に都内のジムで会見し、「まったく期待されなかったのに、燃え尽きるまでやり切った。最高のボクシング人生だった」と引退表明した。5度目の世界挑戦も視野に入れていたが、5月にメルボルンでWBA4位ジェイソン・モロニー(オーストラリア)に6回TKO負け。「納得できた。もう気持ちも燃え上がってこなかった」と決意した。

18年前のこの日にプロデビューしたが、4回判定負けだった。そこから日本、東洋太平洋王座を獲得も、08年9月、10年9月と2度目の世界挑戦は判定負けで連続失敗した。頸椎(けいつい)ヘルニアもあって3連敗したが、13年大みそかに3度目の挑戦。4回KO勝ちで世界王者になった。「何度もチャンスをもらい、最高の試合で世界王者になれたのが一番の思い出。奇跡だった」。苦節の15年目でジム2人目の世界王座奪取を振り返った。

初防衛に失敗も、14年3月には王座に返り咲いて3度防衛した。15年のV2戦では米シカゴで亀田興毅の挑戦を受けたが、発表2日前には左脇腹も痛めていたが快勝。「周りも盛り上がって、3回世界王者になった気分だった」と笑った。16年にはWBO王者井上尚弥に4度目の世界挑戦も、6回TKO負けに「格別の強さだった」と話した。

父豊蔵さんは外苑前カイロプラティックを経営する。自宅を改造した「リビングジム」で、素人ながらミットをもってもらうのが日課だった。マッサージも欠かせなかった。両親に引退を伝えると「公平は誇り。言い夢を見させてもらってありがとう」と感謝されたという。

たたき上げの努力家で、タフボーイといわれたスタミナで、大きなケガもなく、18年のボクシング人生で2度世界王者になった。戦績は33勝(14KO)12敗1分け。今後は未定も15年前に鍼灸(しんきゅう)師の資格を取得済みで「父の治療院を継ごうかとも思っている」と話した。来年1月12日に後楽園ホールで引退式が行われる。