元日本スーパーウエルター級王者で国内現役最年長の野中悠樹(井岡弘樹)が41歳の誕生日の10日、大阪市内の同ジムで会見し、東洋太平洋&WBOアジア太平洋ミドル級王座挑戦を発表した。来年2月24日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で王者細川チャーリー忍(34=金子)とタイトルマッチを行う。

野中は「41歳、バカボンのパパと同い年になりました」と笑いながら「中年と呼ばれる年齢ですが、世間で言えば働き盛り。確かに疲れやすくなったけど(体調の)ピークは変わらないし、もっと伸びるという感触もあります」と不惑の決意を語った。

20世紀の99年デビュー。世界戦経験こそないが、戦績は32勝(10KO)10敗3分け。日本スーパーウエルター級王座を08年9月~09年3月、14年8月~16年12月の間、2度保持し、東洋太平洋同級王座も09年に獲得した。

39歳の昨年10月にWBO東洋王座戦、40歳の今年4月にIBFスーパーウエルター級2位決定戦で連続して判定負けを喫した。「進退について考えた。でも、自分の中で“まだやれる”という気持ちがあり、周囲も“まだまともに話せるし、大丈夫やろ”と言ってくれたんで」。JBCのプロライセンス年齢制限は「17~36歳」だが、野中は元王者(日本、東洋太平洋、世界各王者)の資格を生かし、現役続行を決めた。

元世界2階級王者の井岡弘樹会長(49)は「僕は29歳で引退した。それでも、周りに“ようやった”と言われたぐらい。頭が下がる。会社員で言えば90歳ぐらいで頑張ってる感覚ちゃいますか」という。野中をデビュー当時から見守る桂伸二トレーナー(47)は「衰えは当然あります。でも、練習、トレーニングをうまく調整してやっている。半分フリーターみたいな生活を続けさせてええんか、とは思いますが」と体力面に不安がないことを強調した。

国内では西沢ヨシノリが06年に40歳で東洋太平洋ライトヘビー級王座を獲得したケースがあるが、40歳のタイトル挑戦は極めて異例だ。野中は「ここが終着点なんて思っていません」-。49歳でWBAライトヘビー級王座を手にしたバーナード・ホプキンスや、45歳でWBA・IBFヘビー級王座を手にしたジョージ・フォアマンのように、地域タイトルで終わらず、世界初挑戦の夢を追いかける。