根っからのプロレス少年内藤哲也(36)が挙げたのは、自分の試合ではなく、初めて1・4を生観戦した00年(平12)橋本、飯塚対小川、村上のタッグ戦。負けると思っていた飯塚が勝利したことで「すごい燃えたっす」と懐かしそうに振り返った。

当時高校2年生だった内藤は新日本ファンクラブに所属していた。ミレニアムにちなんだ2000円の外野席チケットを先行予約で購入。大好きな武藤敬司のTシャツを着込み、足立区の実家からバイクを飛ばし、サッカー部の友人らと東京ドームへ乗り込んだ。

新日本と、アントニオ猪木が立ち上げた「UFO」が抗争を繰り広げていた時代。その焦点となっていた橋本でも小川でもなく、脇役の飯塚が勝った意外な結果に思わず、立ち上がって叫んだ。「僕を含め東京ドームにいる誰もが飯塚が勝つとは思っていなかった。だから、『うわー、飯塚勝ったー』と。ライトスタンドから、興奮して見ていたのを覚えています」。

来年1月4日は、ダブルメインの1つでIWGPインターコンチネンタル王者クリス・ジェリコに挑戦する。世界的なスター選手ジェリコが、愛する新日本のリングにスポット参戦して大きな顔をしているのは気に食わない。リング内外で火花を散らしてきた相手の「うるさい口をふさぎますよ」と言い放った。

外野席から見た経験があるからこそ分かる。「客席との距離があって盛り上がりにくいけど、その分大爆発する可能性がある」。過去8度の1・4での試合で盛り上がりの手応えを感じたのはセミファイナルで棚橋弘至を下した17年の「1度だけ」という。「どう見られているかは考えない。いま自分が何を見せたいか、やりたいかを一番大事にしたい」。本能に従った予測不能の戦いで、ドームに大爆発を呼ぶ。【高場泉穂】

◆00年1月4日新日本対UFOタッグ戦 橋本真也、飯塚高史(新日本)対小川直也、村上一成(UFO) それまで4度のシングル対決で抗争を繰り広げていた橋本と小川がタッグで対戦。途中、村上の蹴りで飯塚が戦闘不能となり無効裁定となったが、UFO総裁のアントニオ猪木が登場し、試合続行を宣言。復活した飯塚が8分59秒で村上をスリーパーホールドで仕留めた。