理系男子の夢が、マカオで散った。IBF世界フライ級14位坂本真宏(27=六島)が王者モルティ・ムザラネ(36)に10回終了TKOで敗れた。

ガードの上からパンチをもらい続け、右目が腫れ視界がふさがれた。10回終了後、青コーナーでドクターチェック。継続可能な状態は超えていた。「右のフルのパンチより、左ジャブが強かった」。序盤から手を出した。左ボディー、左右ワンツー。ヒットはしたが、パンチのスピード、回転が違った。

大阪市立大大学院工学研究科で機械物理学を専攻する男は、世界挑戦を夢見て、ロボット工学関係の企業内定を辞退。国公立大大学院生ボクサーとして、日本ボクシング界で初めて世界戦に挑んだが、力の差を見せつけられた。

枝川会長は「先のことは本人次第」と話した。腫れ上がった視界の先はまだ不透明だ。

◆坂本真宏(さかもと・まさひろ)1991年(平3)1月19日、堺市生まれ。小中学校ではソフトボール、野球をし、泉北高では“帰宅部”。1浪で大阪市大工学部に入学、体育会でボクシングを始める。関西大学リーグ2、3部トーナメント・フライ級優勝などアマ戦績24勝(11KO)6敗。14年12月プロデビュー、昨年12月にWBOアジアパシフィック・フライ級王座獲得。164センチ。右ボクサー。家族は両親、兄。