WBO世界スーパーフライ級3位井岡一翔(29)が、日本ボクシング界初の世界4階級制覇を逃した。同級王座決定戦で、同じ世界3階級覇者の同級1位ドニー・ニエテス(36=フィリピン)に1-2の判定負け。ジャッジに泣いたとも言える結果にも弁解はしなかった。世界ライトフライ級1位の京口紘人(25=ワタナベ)は、同級スーパー王者ヘッキー・ブドラー(30=南アフリカ)を10回終了TKOで破り、2階級制覇を達成した。

 ◇  ◇  ◇

私見としてニエテス-井岡戦は微妙な判定だった。手数で井岡が上に見えたが、ニエテスの有効打が支持されたのだろう。久々に見た技術の攻防だった。特に互いのディフェンス力が高く、4階級制覇を狙うにふさわしい試合内容。特にニエテスが今まで見せたことがなかったタイミングの相打ちのカウンターがあり、互いにうかつに手が出せなくなってしまうシーンがあったほどだ。

あえて井岡に課題を挙げるとすれば、スーパーフライ級のパワーが少し足りなかったように見える。的確なパンチが入っていたが、ニエテスの動きは止まらなかった。もし両者がフライ級で対戦していたら、パンチを効かせられたかもしれないし、展開も変わっていただろうと想像する。

また京口は1階級上げ、生き生きしていた。特に左ボディーからの左アッパーは非常にパワフルなものになっていた。このパワーならばフライ級にも十分に通じるし、将来的にも3階級制覇も狙えると言っていい。(大橋秀行・元WBA、元WBC世界ミニマム級王者)