オカダ・カズチカ(31)がSANADA(31)との激闘を制し、13年以来2度目の優勝を果たした。新日本初の米ニューヨーク・マディソンスクエアガーデン(MSG、4月6日)大会では、メインでIWGPヘビー級王者ジェイ・ホワイト(26)に挑戦する。

オカダに歓喜の雨が降り注いだ。新潟出身SANADAコールが起こるアウェー。30分を超え、とどめを刺そうとコーナーに駆け上がるSANADAの足に必死にしがみついた。互いにツームストンパイルドライバーをかけ合い、いったんかわされた後、レインメーカーを発射。さらにもう1発完璧に決め、勝利をもぎとった。マイクを取ると「MSGでジェイ・ホワイトのクソ野郎をぶっつぶしてきます! 」と宣言。1月4日東京ドーム大会で敗れた借りを、プロレスの聖地で返す。

試合後、解説席にいた柴田勝頼のもとへ近寄った。ちょうど2年前の17年4月。IWGPヘビー級王者だったオカダは、ニュージャパン杯を制した挑戦者の柴田と両国大会で対戦。オカダが勝利し、試合後柴田は病院に搬送され、硬膜下血腫の重症を負った。以来長期欠場し、現在は新日本ロサンゼルス道場で指導を続ける。その柴田に勝利を報告すると「おめでとう。ニューヨーク行くから」と声をかけられ、目が潤んだ。バックステージで再び柴田について問われると、はなをすすり、流れる涙を何度も拭った。「勝てよ、と言ってくれた。しっかり、柴田さんに送り出してもらったんで」。思いを背負ってニューヨークの舞台に立つ。

昨年6月にIWGPヘビー級のベルトを失って以来、風船を持って入場したり、髪色を赤にしたりと迷走しながらも新しい自分の姿を探してきた。オカダはチャンピオンだった自分を「悪い意味でかっこつけているオカダカズチカだった」と振り返る。泥臭く、石井智宏らCHAOSの仲間も下して勝ち取った優勝で、さらに強さを身につけた。「チャンピオンになって日本に帰ってくる」。満を持して、5度目の戴冠に挑む。