WBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が、トップ級アマボクサーとのピリピリムード十分のスパーリングを消化した。

30日に横浜市の所属ジムで、16年に日本ボクシング史上初めて世界ユースを制した堤駿斗(19=東洋大1年)と4回のスパーリングを消化。20年東京五輪(オリンピック)でボクシングが正式採用された場合、メダル最有力候補と言われる堤に対し、距離を詰めて的確なパンチをヒットさせた。

5月18日に英グラスゴーで控えるIBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)準決勝を控え、井上が調子のギアを1段階上げた。「緊張感がありましたね。反応が早いので、どちらに集中力があるか、ミスしないのかの勝負でした。(堤の)右カウンターもロドリゲスのイメージができます」と収穫を口にした。

2月上旬、3月中旬に続き、3回目となる井上とのスパーリングだった堤からも「尚弥さんの仕上がり、キレが良くなってます。プレッシャーがすごかったです。試合以上の緊張感がありました」と驚かれた。ボクシング発祥の地で迎えるWBSS準決勝に向け、井上は「テクニックの練習にもなりました」と充実の笑みを浮かべていた。【藤中栄二】