ボクシング日本バンタム級王者斉藤裕太(31=花形)が、呪いを振り払う王座統一で初防衛を誓った。前日計量が17日に都内であり、18日に東京・後楽園ホールで対戦する暫定王者木村隼人(29=ワタナベ)ともリミットの53・5キロで一発クリアした。

同級は計量失敗やケガで3度流れた末に、斉藤が昨年9月に2度目の挑戦で王座を獲得した。ところが2週間後に血便が出て、潰瘍性大腸炎と診断された。「呪われた階級」と言われていただけに「引退か」と落ち込んだ。3カ月は何もできなかったが、投薬と魚中心の食生活に切り替え、12月に走り始めることができた。

初防衛戦だけはやって引退も考えたが「最初は仕上げきれないと思ったが、前回以上に調子も体調もいい」。病を乗り越えた斉藤には発奮材料も事欠かない。ジムの花形会長が4月に日本プロボクシング協会会長就任後の初の試合になる。「会長のためにも負けるわけにはいかない」。

さらに5月には第4子の長女が生まれる。毎試合シューズに子供の名前を入れている。4人目を加えたシューズを履くために「勝ってもう1試合やらないわけにはいかなくなった」と気合が入る。

12日には山中慎介同級トーナメント開催が発表された。斉藤は「ぜひ出たい。100万円の賞金もあるが、どんな相手でも逃げない。井上尚弥以外なら誰とでもいい」。現役王者でも出場制限はなく、意欲は満々だ。「キャリアは向こうが上だが、挑戦者のつもりで倒しにいく」とKO防衛で王座統一を狙う。

木村は16歳の時にタイでデビューし、韓国で王座も獲得した。13年に日本に帰国してジムを移籍し、昨年12月に4度目のタイトル挑戦で、ようやく王座に就いた。ただし暫定王座だけに「中途半端」と譲るつもりはない。

井上トレーナーに代わり、練習では全パンチを思い切り打ち込む指導を受けてきた。「練習に達成感あり、スタミナもついた。ロープを背負わずに攻めやすくなった」と手応えがある。実は2月に斉藤と川崎市を表敬訪問した。「いい人なんでやりづらいが、リングでは倒しにいく」と自信を見せた。