WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)がボクシング発祥の地となる英国に初上陸した。試合10日前の8日から試合会場となるグラスゴーに入った井上がワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)準決勝のリングに臨むまでの舞台裏を、3回にわたって連載する。

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井上-ロドリゲス戦はWBA、IBFの2団体王座統一戦として開催されないことが濃厚となった。16日にグラスゴーで取材に応じた大橋会長は「IBFが認めてくれそうにないですね」と表情を曇らせた。IBFがWBAが1階級に最大で3人の世界王者(スーパー、正規、暫定)を承認していることを受け、WBA王座を団体統一戦とする場合はスーパー王者のみに限定していることが影響している。

特に今回はWBA正規王者とIBF王者が無敗同士で激突するWBSS準決勝という大舞台がセッティングされた。大橋会長はWBAとともにIBFに団体統一戦の承認を求めており、試合当日まで粘り強く交渉する姿勢だ。同会長は「WBAは統一戦として認めてほしいと言っているのに、IBFは理解してくれないようだ」と唇をかんだ。

WBA王座が懸けられない場合、井上が挑むIBF世界バンタム級タイトル戦として開催。井上が勝てばIBF王座奪取で、WBA側の意向で同団体の2度目の防衛も認められる見通し。従来の統一王者ではなく、異例の2冠王者となる。統一王者とは違い、両団体からの防衛戦の時期などの配慮をもらえない可能性もある。【藤中栄二】