WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が2回1分19秒TKOでIBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)を下し、WBSS決勝進出を決めた。

2回に左フック、左ボディーなどで計3度のダウンを奪取し、レフェリーストップによる快勝劇だった。統一戦ではないものの、井上はIBF王座とザ・リング認定ベルトを獲得。同時にWBA王座の2度目の防衛も成し遂げた。通算戦績は井上が18勝(16KO)無敗、負けたロドリゲスは19勝(12KO)1敗となった。

2回開始すぐにワンツーでのけぞらした井上は「当たれば倒せる」と狙いすませたカウンター気味の左フックで最初のダウンを奪った。鼻血を出したロドリゲスに左ボディーで2度目、さらに起き上がってくる相手にワンツーからの左ボディーで3度目のダウンを奪ってTKO勝ち。

「結構、効いているのが分かっていたので、いけるかなと。ボディーは狙っていました。(効いたのは)ボディーじゃないですかね」。

昨年10月、米国でロドリゲスの1回戦を視察した際、攻略のヒントを見つけていた。「ボディーがそんなに強くないなと。作戦的にはボディーから弱らせていくというのがありました。1回ダウンを取って、まず相手も上に意識させて下に」。作戦通りのボディー攻めでIBF王者を仕留めた。 異国の英グラスゴーで、無敗同士の王者対決に快勝した。「ちょっと吹っ切れた感はある。今日の喜びもプレッシャーから解放されたような、重圧がちょっと砕けたようなシーンだった。期待に応えられた」。年内に開催予定の決勝の相手は、視察にも訪れていた5階級制覇王者のWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)となる。

ドネアから「戦う運命にある。ベスト・オブ・ベストの戦いができると思う」と言われて抱擁し、健闘を誓い合った井上。決勝でも序盤KOで勝つ自信を問われ「次はドネアですよ」と苦笑。その上で「ここまできたら開き直るしかないですよ。まだ1発は重くあるなという印象です。1発だけはもらわないように」と気持ちを引き締めていた。

プロ18戦目で世界主要4団体制覇、ザ・リング認定ベルトを手にした井上は「ベルトにそこまでこだわりはない。今回もIBF王座が懸かっただけで。誰とやるかが重要なんです。次も例えばベルトが懸かっていなくても、ドネアとやることが重要」。年内に開催されるWBSS決勝。日本の誇るモンスターが、早くも5階級制覇王者との頂上決戦を見据えていた。