WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が2回1分19秒TKOでIBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)を下し、WBSS決勝進出を決めた。本誌評論家でWBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志氏は井上の強さについて語った。

  ◇    ◇    ◇

井上の左フック一発でもう勝負はついた。パワーもスピードも差は歴然。ボクシングは拳だけで戦う。その拳にパワーという武器があるのは大きい。いつも通りに文句のつけようがない。プエルトリコ人に海外で勝つなんて考えられなかった。またびっくりだ。

ロドリゲスはプレッシャーをかけてきた。今までの相手は下がり、これでは井上に勝てない。時間の問題。勝つにはこれしかない作戦だが、出てきたことでタイミングはあっていた。空振りもあったが、距離が詰まれば決まると思った。

2回にはすぐにパンチが当たり出した。ロドリゲスも返してきたが、パンチを出すと右ガードがオープン気味になって真ん中が開く。そこへいい角度で左が入った。あとはボディーで決めたが、タイソンのようなコンビネーションもすごかった。

ドネアも勝つにはプレッシャーをかけ、パンチを当てるしかない。同じ左フックはパワーがあって、そこだけは気をつけたいが、全盛時に比べれば鈍っている。問題なく井上が勝ち、その後に相手がいるのか心配。もう階級を上げざるを得なくなるかもしれない。間違いなく階級を超えた最強のパウンド・フォー・パウンドになる。(元WBC世界スーパーフライ級王者)