ボクシングWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪(28=横浜光)が、12年ロンドン・オリンピック(五輪)米国代表で同級7位のジャメル・へリング(33=米国)との2度目の防衛戦で敗れた。

4月に米プロモート大手トップランク社との3年契約が発表された。練習拠点の半分を米ロサンゼルスに置く伊藤にとって、米キシミーでのV2戦は重要なファイトだった。前日計量では、この勝者が次戦で対戦するとされるWBC王者ミゲル・ベルチェント(27=メキシコ)も姿をみせ、ヘリングと3人で写真撮影にも応じた。

「世界的にも有名なベルチェントと対戦できる可能性があることが、自分のやる気になります。プレッシャーはないです」。昨年7月にクリストファー・ディアス(24=プエルトリコ)からダウンを奪って王座決定戦を制して新王者となって以来、約1年ぶりの米国での世界戦。1年間でファイトマネーも倍増した。「リングには対戦相手と自分だけ。戦う場所は関係ないです」。自信を胸に臨んだ2度目の米リングだった。

既に年明けからヘリングが挑戦者の有力候補に挙がっていた。3月末には米ロサンゼルスから岡辺大介トレーナーを呼び、国内でヘリングと同じサウスポーとのスパーリングを開始。4月10日には渡米し、ルディ・エルナンデス・トレーナーと合流した。約6週間の合宿でスパーリングを繰り返し、同じく米修行を行っていた元IBF世界スーパーバンタム級王者岩佐亮祐(セレス)ともスパーリングし、左対策を練っていたが、ヘリングを倒すことはできなかった。

「ボクシングは仕事ですが、夢もかなう。夢をもっともっと続けたい」。五輪出場経験のある長身178センチのサウスポーという難敵を突破できずに王座陥落。2団体統一戦に臨めるチャンスも逃してしまった。伊藤が描く米国でのチャンピオンロードは困難な道になってしまった。