すべては世界初挑戦のために-。ボクシング国内現役最年長41歳のWBOアジアパシフィック・ミドル級王者野中悠樹(井岡弘樹)が27日、大阪市内の同ジムで初防衛戦を行うと発表した。9月16日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で同級7位ヤン・ヒュンミン(26=韓国)の挑戦を受ける。

ヤンは8勝(7KO)2敗のハードパンチャー。野中は「タイトルの最年長奪取の記録を作ることができたので、油断せず、しっかり仕上げて勝ちにいきます」と自信を口にした。

夢に続く戦いだ。世界王座挑戦の夢を追い続け、2月24日に細川チャーリー忍を破り、同王座と東洋太平洋王座(返上)を41歳2カ月で奪取。日本ボクシングコミッション(JBC)公認タイトルの史上最年長記録を樹立したが、WBO世界王座挑戦に不可欠な世界ランク15位内に入ることは見送られた。

野中は99年のデビュー後、キャリアの大部分をウエルター、スーパーウエルター級で戦っており、WBOの言い分は「ミドル級の実績不足」。桂伸二トレーナーは「(井岡弘樹)会長が懸命に働きかけてくださったんですが“とにかく防衛戦をしなさい”と」という。

初防衛戦の目的は、世界ランク入りの実績作り。井岡会長は「今回の相手は強いです。(それだけに)勝てば必ず(世界)ランク入りが見えてくると思う」と言い、勝ち方も「そりゃあKOがいい。WBOのランキング委員会に対して(判定勝ちより)印象が違う」と力説した。野中は「僕は(間合いへの)出入りとフットワークが命」と言いつつ「どんな形でも勝つことが大事ですが、チャンスがあれば倒したい」と、KO狙いの意欲を隠さない。

11月22日でデビューから20周年。12月10日には42歳になる。野中は「仕上がるまでの時間がかかるようになったけど、ピーク(の力)は(全盛時と)変わらない」というが、常識的に考えて残された時間は長くない。井岡会長は初防衛に成功し、世界ランク入りが実現すれば「全力で(世界挑戦に)動きます」と話す。

勝つだけでなく、KOという付加価値も求め、不惑の王者はリングに上がる。