ボクシング大橋ジムの大橋秀行会長(54)も決戦へ気持ちを高ぶらせた。

11月7日にさいたまスーパーアリーナでのワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝で、3階級制覇のWBA、IBF世界同級王者井上尚弥(26=大橋)が、5階級制覇のWBA世界同級スーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)と対戦する。ドネアが31日に都内のジムで練習を公開し、井上陣営も視察した。

大橋会長は井上の父真吾(48)、松本好二(50)、太田光亮(31)と、3人のトレーナーを従えて公開練習に乗り込んできた。会見では最前列横から、ドネアの顔色をうかがいながら、コメントに耳を澄ませていた。

練習はシャドーとミット打ちを1回ずつと10分足らずだったが、大橋会長はあらためてドネアの風格を感じ取っていた。「サムライ、レジェンドの雰囲気を感じた。覚悟を決めてきている」とまずは口にした。表情や練習を見て「絞れてきている。練習で落としてきた顔。体調もすばらしい」。ミット打ちから「あの左フック、アッパーは強い」とあらためて認識した。

ドネアはスピードも維持していると衰えは否定した。大橋会長は「ベテランはどうしてもスピードは落ちる」と言いつつも「経験とカウンターのタイミングは怖い。合わせるカウンターは、年とともに精度は上がってくる」。必殺パンチに警戒感を強めていた。

試合展開を聞かれると「ともに絶好調は間違いない。2人とも左フックが強く、お互い一発で失神させる力がある。1回からピリピリ感、緊張感が出る。ここ数年なかったこと。よーいドンか、見合ってフェイントの掛け合いか。わからない。すごい試合になるのは間違いない」。1週間後の決戦の緊迫感とともに、大きな期待感を吐露した。