ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が右目眼窩(がんか)底骨折の重傷を負っていたことが9日、分かった。

同日、同門の中嶋一輝(大橋)の試合応援に来ていた東京・後楽園ホールで取材に応じ、同眼窩(がんか)底と鼻の右下付近の2カ所を骨折していると明かした。

7日にさいたまスーパーアリーナで開催された5階級制覇王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝の2回に浴びた左フックで右目上をカット。この時のパンチで大ダメージを受けたという。

階級最強を決めるWBSS制覇、軽量級レジェンド撃破の代償は大きかった。井上は試合翌日8日に都内の病院で精密検査を受け、2カ所の骨折と診断されていたという。右目上にガーゼを装着して取材に応じ「会長と相談して公表を決めました。(右)目が2重に見えた時点でしびれていましたし『ヤバイ、(骨折を)やったかな』という感覚があった」と覚悟していた。1カ月後に再検査し、今後の練習再開のメド、米国での次戦の時期を判断する。

担当医からは2カ所ともに手術の必要がないと説明された。「次戦に影響はないと言われてホッとした」とも口にした。米プロモート大手トップランク社と契約を結び、20年初戦は米国と決定済み。大橋秀行会長(54)は「1カ月後の再検査の結果を待って次戦は考えたい。骨折した中でドネアと残り10回を戦った。新たなモンスター伝説になった」と話した。

◆眼窩(がんか)底骨折 眼窩底とは、目のくぼみ=眼窩の下方にある骨の壁。程度の差はあるが、目を強打し眼窩底に骨折を起こし、その骨の裂け目に眼筋やその他の組織などが落ち込んだことをいう。眼球を動かす眼筋がはまり込んだ場合は、眼球運動に障害が起こる。眼球後部の組織が落ち込むと、目が陥没することもある。陥没が激しい場合、また3~4週間たっても、眼球の運動障害がある場合は、眼筋を引っ張り出すための手術が必要になる。