WBO世界フライ級王者田中恒成(24=畑中)が2日、名古屋市内のジムで“強敵”とのスパーリングを打ち上げた。

大みそかの同級12位ウラン・トロハツ(26=中国)との3度目の防衛戦(東京・大田区総合体育館)に向け、同級9位でIBF同級4位の実力者ジェイソン・ママ(22=フィリピン)とのスパーリングを打ち上げた。この日は4ラウンドで、約2週間で計21ラウンドを重ねた。田中は「(挑戦者と)似たタイプではないが、技術的にいい練習ができた」と満足感を口にした。

今回のテーマはジャブ。「今までは差し込まれることが多くて1、2ラウンドをとられて力ずくで取り返すパターンがあった。1ラウンド目からコントロールしたい」。オーソドックスタイプのボクサーにとって、生命線ともいえる左ジャブ。より高みを目指す上で原点に立ち戻った。

そのイメージを王者は「ないです」とキッパリ。しかし、父でトレーナーの斉氏(52)は「ブルース・リーです」と割って入った。この日、練習前にブルース・リーの映画を見ていたことからのインスピレーションで、田中も「違います」と否定。しかし、イメージは違っていない。

斉トレーナーは「ノーモーションで打つでしょ。あのイメージです」。王者が目指す「自分だけ当ててもらわないジャブ」に当てはまる。

大みそかでの世界戦を「やれることに喜びを感じます」と田中。「KOで勝ちたい」という目標達成へ、ブルース・リー流のジャブがさく裂する。