ボクシングWBA世界ミドル級8位スティーブン・バトラー(24=カナダ)が王座獲得へ、持ち前の「強打」を隠した。

23日、横浜アリーナで同級王者村田諒太(33=帝拳)への挑戦を控え、16日に都内のジムで練習を公開。1回2分の時間でシャドーボクシング、ミット打ち、サンドバッグ打ちをみせたが、ほぼフルパワーのパンチを披露することはなかった。KO率8割を誇る強打を公開しなかった挑戦者は「自分のキャリアにとって重要な試合。あとはチャンピオンになるだけ」と自信に満ちた表情をうかべた。

8日に来日後の練習場所や内容については一切、非公開とした。当初は来日後、スパーリング相手と呼ぶとの意向を示していたが、ジャンフランソワ・バージェロン・トレーナーは「少し計画を変更した。スパーリングパートナーは連れてこなかったが必要な練習はしてきた」とだけ口にした。既に母国カナダで10週間にわたるトレーニングキャンプを積んできたこともあり、同トレーナーは「たくさん体を動かし、今までにない集中力でやってきた。この試合が楽しみ」と不敵な笑みを浮かべた。

バトラーの祖父が元プロボクサー。祖父マーシャル氏が72年4月、プロデビューから23戦無敗を続けていた、のちにWBC世界ウエルター級王者となるジョン・H・ストレイシー(英国)に敵地で初黒星をつけたキャリアを持つ。番狂わせのDNAを引き継いだ自負もある。村田戦決定まで、WBO1位にランキングされ、WBO王者デミトリアス・アンドラーデ(米国)への指名挑戦権も持っていた。バトラーは「1週間前に来日し、必要なことはやってきた。トップに立つためにやることはやってきた」と王座獲得への意欲を示していた。