大日本プロレスが16日、横浜文化体育館で旗揚げ25周年記念大会を行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響でスポーツイベント自粛の波が広がる中、同団体は「止まったらつぶれてしまう」(団体スタッフ)という経済的事情から、2月末に政府が自粛要請を出した後も興行を継続。ちょうど旗揚げ25年目となるこの日も決行した。

同団体は、観戦を控える人のため2月24日から3月21日までの6大会チケットを払い戻しではなく、年内興行試合への振替で対応。この日までに約150件ほどの申請があった。この日の入りは通常の同会場より数百人少ない1085人。

感染予防のため、来場者や報道陣にマスク着用を求めるほか、入場時にはスタッフが1人1人に手の消毒を施した。通常閉めてある2階客席後方の窓も換気のために開けられ、寒風吹き込む中で試合が行われた。

第2試合の6人タッグマッチでは、常に水を使って大暴れするバラモンシュウ、ケイのバラモン兄弟がマスク着用で自粛モード。口から「バラモン水」を噴射しない代わりに、手に持った消毒液を客に向かってまき散らした。

メインのデスマッチヘビー級選手権では、王者アブドーラ・小林(43)に伊東竜二(43)が挑戦。用意された蛍光灯316本をふんだんに使いながら流血戦を展開。リングに大量の破片が散らばる中、最後は、伊東が寝かせた小林の上に蛍光灯の束をのせ、その上にコーナーからドラゴンスプラッシュを決め、3カウント奪取。3年8カ月ぶり、7度目の戴冠を果たした。

思わぬ状況で訪れた記念日。デビュー20周年イヤーでもある伊東はマイクで複雑な思いを語った。「たくさんのご来場ありがとうございます。いま世の中が大変なことになっています。きょうもゴングが鳴るまで不安でいっぱいでした。きょう来ないという選択をした人もいると思います。それも勇気のある決断。きょう会場に来た方も勇気のある決断」と、ファンそれぞれの思いに感謝した。

大日本は現在自社トラック3台が故障。買い直す資金がなく2月に募金を始めたばかりだった。そこにコロナウイルス感染拡大が重なり、団体存続の危機を迎えている。伊東は「プロレスを見て、免疫力をつけましょう!自粛、自粛でストレスためてる暇ないでしょ!」と観客を元気づけ、さらに「大日本はいま最大の危機を迎えています。それを乗り越えていくためにも自分はがんばる。みなさんの力が必要です」と呼びかけた。