プロレス団体DDTが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で自粛していた興行を2月24日の名古屋大会以来、25日ぶりに後楽園ホールで再開した。

再開にあたり、DDTは公式ホームページを通じて、高齢者、基礎疾患患者、妊婦や37度5度分以上の発熱など体調の優れない人へ来場を控えるよう呼びかけ。また、当日来場した観客、選手、スタッフ、報道関係者全員に検温と手の消毒を実施。37度5分未満のみ入場可能とした。

メインのKO-D無差別級選手権では、王者田中将斗(47=ゼロワン)に、幼少期から田中に憧れ続けてきた竹下幸之介(24)が挑戦。投げ技、張り手、エルボーと荒々しいパワー勝負に会場が何度も沸いた。最後は田中が竹下のエルボーを、強烈なローリング・エルボーバットで返し、倒れた竹下から3カウント奪取。2度目の防衛を果たした。

田中がマイクで「今のご時世でDDTの大会がとび、みなさんも来られなかった大会があったと思う。でもきょうの戦いを見て、そのフラストレーションは飛びましたよね?」と客席に呼びかけると、拍手と歓声が。さらに、「この状況であなたとやれて幸せでした」と23歳下の竹下と固く握手。互いに再戦を希望した。

観衆は916人。旗揚げ23周年記念日とあり好カードを並べたが、満員には届かなかった。大会後、高木三四郎社長(50)は19日に新たに政府の専門家会議からの大規模イベントへの注意喚起が出たことで「自分の中で葛藤があった」と明かした。さらにカナダの有名サーカス団体「シルク・ドゥ・ソレイユ」のダンサー、スタッフの約95%が解雇されたニュースにも触れ、「これ以上続くと我々もそうなる。葛藤しながらも、再開するという道を選んだ」と理由を説明した。海外における感染拡大と渡航制限により、4、5月に予定していた外国人選手の参戦が白紙になるなど影響は大きい。それでも高木社長は「明るく前を向いてやっていきたい」と笑顔で結んだ。【高場泉穂】