「日本ボクシング界最大の勝利」と語り継がれる世界戦から55年、伝説のチャンピオンが再会する計画が進められている。日本ボクシング黄金期のヒーロー、ファイティング原田こと原田政彦さん(77)と、史上最強の評価を受け「黄金のバンタム」と呼ばれたブラジルのエデル・ジョフレさん(84)。両雄には歳月、距離を超えた友情がある。

原田さんは「ジョフレは人間的に素晴らしい。あの試合は忘れられない。だからもう1度、どうしても会いたい」と話す。ブラジルに住む「拳友」に再び会う希望があるという。

1965年(昭40)5月18日、愛知県体育館で行われた世界バンタム級タイトルマッチ。50戦無敗の王者に対し、原田さんは圧倒的不利の下馬評を覆し、2-1で判定勝ち。館内を座布団が舞い、新王者を抱きかかえて祝福するジョフレさんの姿が、見る者の心を打った。

2人は89年にブラジルで再会している。その後は連絡を取り合うことがなくても激闘を忘れず、拳を交わした者同士の敬意を募らせていく。

原田さんと親交のある石井彰英さん(64)が今年になってインタビュー動画を作成してジョフレさん側にメール送信。石井さんを介してメールのやりとりが始まった。

老いも目立つ様子のジョフレさんは画像に反応した。ファイティングポーズを取り「2人とも全力で戦った。私たちに真の友情をもたらしてくれた」と感激していたという。名を冠した記念Tシャツと再会を希望するメッセージを贈られた原田さんは涙ぐんだ。

米ボクシング関係者も動画に関心を示し、両者を来春に米国で開かれるイベントに招待する計画を進めている。高齢な上、新型コロナウイルスの影響や資金面などクリアすべきハードルは高くても、原田さんは「これが最後のチャンス」と、その時を待ち焦がれている。