ボクシングWBO世界フライ級3位中谷潤人(22=M・T)が28日、オンライン会見で世界初挑戦への意気込みを披露した。11月6日に東京・後楽園ホールで同級1位ジーメル・マグラモ(26=フィリピン)との王座決定戦に臨む。2月の発表から2度延期して約9カ月。「延期だったので気持ちを切らさずきた。さらに一段気合が入った」と9日後の決戦を待ち望む。

現在は午後の1時間を中谷タイムとし、他の選手は入れずにトレーナー、パートナーとだけで練習する。当初は無観客が有観客にもなった。「家族や応援してくれる人がたくさんいる。協力してくれ、支えてくれた人の思いが伝わる。しっかり応えて恩返しに世界王者になる」と誓った。

準備は万全だ。日程が延びたことで、2月からのスパーリングは異例の500回を超えた。その分、徹底して対策に取り組み、作戦を体に染み込ませ、課題克服を図ってきた。「長い距離はレベルアップし、不得意だった近い距離は手数で押し返せるようになった」。

世界王者寺地拳四朗、元世界王者比嘉大吾とも手合わせ。寺地はマグラモとスパー経験があり「距離を保てば大丈夫」とのお墨付きももらった。「たくさん自信もつき、修正することもできた」と中谷も手応えを得た。

試合前は米ロサンゼルスでのスパー合宿が恒例だった。今回も3月に渡米して2週間滞在した。指導を受けてきたルディ・エルナンデス・トレーナーは来日しないが、スパーリングの動画を毎回フェイスブックで送信。リモートでアドバイスを受けてきた。「やることは頭に入っている。問題はない」と話す。

6月に2度目の延期となり、8月に新潟への家族旅行で「自然と触れ合った」とリフレッシュした。練習後には映画を見てリラックス。あこがれる元世界王者山中慎介らの試合を見て「いいイメージを高めてきた」という。

普段は60キロからの減量となるが、今回は「いつでも減量に入れる態勢に」と57キロをキープしてきた。現在はリミット50・8キロまであと3キロと順調だ。30日でスパーを打ち上げ、最後の減量調整に入る。

中1でグローブをはめ、中卒で単身米修業から世界王者を目指してきた。U15で2連覇、4回戦デビューし、全日本新人王、日本ユース、日本王座獲得と確実に階段を上ってきた。「4回戦の選手にも勇気を与えたい」。頂点まであと1歩だ。