白いベルトを奪って長い髪を死守する。創立10周年を記念して行われるスターダム日本武道館大会(3月3日)の対戦カードが18日発表され、メインで団体として初の敗者髪切りマッチに挑む中野たむが意気込みを語った。調印式に登壇した中野は、ワンダー・オブ・スターダム(WOS)王者のジュリアに向かって「負けてリングに散れ」と罵倒した。

「宇宙一かわいいアイドルレスラー」が覚悟を持って挑む。「人の髪を切るのは楽しみ」と語るが、敗れれば丸刈りになる。16年にプロレスラーになって以降、1度も髪を切っていない。「長い髪をなびかせて戦うのが、強い女子プロレスラーだというイメージがあった。もう少しで理想の長さになる」と色気のある大人のレスラーにあこがれを抱く。

今月6日の試合後にジュリアが髪切りマッチを提案。一晩考えたが「どうしても対戦したかったので、考えは変わらなかった」と翌日受諾した。「アイドルにとってきれいな髪はなくてはならないもの」との思いはあるが、ジュリアからの勝利とベルト奪取への意欲が上回った。

昨年のシンデレラトーナメントを優勝したジュリアがWOSへの挑戦権を獲得するも、王者だった星輝の引退により白紙に。その後7月に何度もタッグを組んでいた中野が相手となり、対戦。「星輝の分まで」と挑んだが、ジュリアに王座を奪われた。10月の防衛戦でも敗戦。11月にユニット「COSMIC ANGELS」を結成し、リーダーとして責任感の出てきた中野にとって、ジュリアはどうしても倒しておきたい相手だった。「2回もベルトを奪われて憎しみが膨れ上がってきた。アイドルレスラーでなくなるかもしれないが、それでもやりたかった」と闘志を見せた。

アイドル時代、夢だった武道館に立つことはできなかったが、プロレスラーになって実現させた。「勝ってスターダムの中心になって、今後のプロレス人生をバラ色にする」。理想のレスラーに近づくため、因縁の相手を倒し、丸刈りを回避する。【松熊洋介】