WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が19日(日本時間20日)、米ネバダ州ラスベガスでIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との防衛戦(WBA5度目、IBF3度目)に臨む。昨年10月以来のリングは日本人初の2戦連続「聖地」防衛戦となる。

WBC王者ノニト・ドネア(38)WBO王者ジョンリール・カシメロ(31=ともにフィリピン)も視察する一戦。さらなるビッグマッチ実現のためにも、KO勝利が期待される。過去の井上の衝撃KOを振り返る。

★2014年12月30日 WBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(39=アルゼンチン)に2回3分1秒でKO勝ちし、世界最速のプロ8戦目で、ライトフライ級に続き、2階級制覇を達成した。約12年間世界王座に君臨し、通算27度の防衛を誇る最強王者から4度のダウンを奪い豪快に決めた。

★15年12月29日 14年末の試合で右拳を負傷して以来、1年ぶりのリングで、同級1位の指名挑戦者パレナスと対戦。2回にガードの上から右のオーバーハンドを打ち込みダウンを奪うと、再開直後の左ボディーで一気に仕留めた。名王者ナルバエスから王座奪取した試合に続く2戦連続の2回KO勝ちで、あらためて異次元の強さを証明した。

★17年5月21日 WBO世界スーパーフライ級2位リカルド・ロドリゲス(27=米国)を3回1分8秒KOで下し、5度目の防衛に成功した。2回途中、サウスポーの構えに変化する大胆さも見せる。3回、構えを右に戻すと、左フックで吹っ飛ばしてダウン奪取。一気に前に出る。最後も左フックでキャンバスに沈め、軽量級では珍しい10カウントを聞かせた。

★18年5月25日 WBO世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル(32=英国)を1回TKO勝ちで、ライトフライ、スーパーフライ級に続き国内最速16戦目での3階級制覇を成し遂げた。最初の左フックで「(王者の)足元がぐらついた」と確信。開始80秒で敵こめかみに左フックを打ちこみ、左ボディーでダウンを奪った。立ち上がった王者に最後は鬼の13連打の猛ラッシュ。衝撃の112秒KOに「みなさん、これがボクシングです。早すぎるというクレームはご勘弁ください。自分もビックリしています」。

★18年10月7日 WBA世界バンタム級正規王者だった井上がワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)トーナメント1回戦で元WBAスーパー王者パヤノ(ドミニカ共和国)と激突。開始40秒すぎに繰り出した右アッパーが距離を縮めてきた相手のあごにかすめると、50秒経過直後に左ジャブでパヤノの視界を奪い、即座に放った右ストレート一閃(いっせん)。顔面を右拳で打ち抜き、ダウンを奪って70秒(1分10秒)のKO勝ち。日本人世界戦最速KOタイムを更新し、世界戦連続KO記録(7戦連続)、世界戦通算KO記録(11試合)の日本新も樹立した。

★19年5月18日 挑戦者でWBA正規王者だった井上が「259秒殺」で無敗のIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)を仕留めた。計3度のダウンを奪い、レフェリーストップによる2回1分19秒、TKO勝ち。IBF王座、米国で最も権威ある専門誌「ザ・リング」認定ベルトを獲得し、WBA王座の2度目防衛に成功。一時期の大スランプを脱出し、主要4団体で世界王者となった。