格闘技イベント「超RIZIN」(25日、さいたまスーパーアリーナ)で行われたフロイド・メイウェザー(45=米国)と朝倉未来(みくる、30)戦前の花束贈呈で、手渡す予定だった花束をリングに投げ捨てた政治団体「ごぼうの党」奥野卓志代表(48)が、日刊スポーツの取材に応じた。

花束贈呈のためにリングに上がった経緯について「この話はRIZIN側から来た話なんですよ」と明かした。

「100万円のチケットをそんな高い値段で買うのだったら、どんな特典があるのって聞いたんです。そうしたら『朝倉未来さんとメイウェザーとどっちに花束贈呈したいですか?』って。朝倉未来さんに渡してもただそれだけになってしまうので、僕はメイウェザーに渡したいと言ったんです」

花束をリングに投げ捨てた理由については「主催者への不満なんですよ」とし、18年12月31日に開催された「RIZIN14大会」(さいたまスーパーアリーナ)で行われたメイウェザーと那須川天心戦での主催者の対応を例に挙げた。

会場に遅れて到着したメイウェザー側が、那須川がいったん巻いたバンテージを試合前に巻き直させるということがあった。

「バンテージチェックにもメイウェザーは来ず、天心だけバンテージ巻いて、自分が2時間くらい遅れてきて『オレは見てない』って言い出したんだよね。それで『もう1回やり直せ』って言われて、試合の1時間前に天心がハサミを入れられたんだよね。2時間遅れてきた人間を優先するってことあり得ます? あり得ないよね。命の危険があるスポーツなのに、主催者がルールを無視するっていう。なんで天心のことを守ってやらないの」

奥野氏は格闘技が好きで、数多くの格闘家との交流もあるという。

「僕は格闘技が好きだから本当に腹が立つというか、あの人たちのやりかたが好きじゃなくて。純粋な子たちが、お金もうけに利用されるのが。選手たちは声をあげられないし、だからせっかくこんな機会をいただいたから、なんかメッセージを発信したいなと思って、無言の抵抗という意味であれをしたんですけどね」

今回も含め、過去の大会でも「選手を大切にしているようには見えない」と感じた場面が何度もあったと言う。

さらに、メイウェザーの自由奔放な態度や行動にも不満を抱いている。

「相手をリスペクトする気持ちもなく、ルールに対して細かく要求してくるわけ。でも自分自身は約束を守らない。それがスポーツマンシップにのっとったとか言えるのかなあ。礼儀を重んじる日本に来て、何でも許されると思うなよ、と」。

格闘技を離れたところでもスーパースターらしからぬ発言もあったと言う。

「ごぼうの党で花束を渡すって分かったら『ああタカ(奥野氏)やるんだ』と。『ごぼうの党の宣伝してやるから1000万円払えよ。記者会見開いてやるよ』とかを言っていた」

奥野氏にも思いはあるが、花束を投げ捨てた行為に対する批判の声は数多くある。

「3秒、5秒の動画だけを見たら、僕が悪者になるのは分かります。あれだけを見たらね。ただ、目には目を歯には歯をっていうふうには捉えられたくないんです。相手は非礼だからこっちも非礼で仕返しするんだとか、そういうことじゃなくて」。

一方、奥野氏の行為について、主催者のRIZINの榊原信行CEOは大会終了後に「主催者として本当に予期せぬこと。ああいう行動に及ぶ品性下劣な行動の男を神聖なリングに上げたこと、花束贈呈はNFTチケットの特典としてついていたものだが、配慮が足りずに、日本国のレベルの低さをこういう形で表現してしまったのであるならば、日本中に謝罪しないといけない。本当にすみませんでした」と頭を下げている。