ボクシング・グリーンツダジムの本石昌也会長(46)が11日、エディオンアリーナ大阪第2競技場での興行後に会見し、男性ボクサーとして復帰を目指す元WBC女子世界フライ級王者真道ゴー(35)について、結論を来年に持ち越す意向を明かした。

日本ボクシングコミッション(JBC)によると、この問題に関して年内に3回目の諮問委員会を開催し、年明けの理事会で方向性を出すという。当初は年内をリミットとする考えだった本石会長だが「前向きに進んでいる確信を得た。進んでいるのであればチャンスにかけたい」と“期間延長”を打ち出した。

性同一性障害に悩んできた真道は17年10月に引退。性別適合手術を受けて、戸籍も男性に変えた上で、ボクシングへの情熱を失わず昨年5月に本石会長に男性としての復帰を直訴し、同会長も実現に向けて精力的に動いてきた。

8月7日に大阪・枚方市で行った興行で、プロテスト受験を認めてもらうためのテストとして「事前評価スパーリング」を実施。JBC側はコミッションドクターに加え、外部の専門家もまじえ、リングサイドで見守った。しかし、JBC側の回答は「あのスパーリングでは判断できない」であり、再び諮問委員会を開いて今後の対応をするという、これまでと変わらないものだった。そこからの進展を信じ、本石会長はJBCの判断を待つことに決めた。

真道は「初めてのことなので時間がかかるのは想定内。会長が頑張ってやってくれている。リングに上がることを信じて体作りからやっている」。心が折れたことはないという。「基本ポジティブなんで。時間ができれば、それは練習をすべき時間ととらえている。人生は波瀾(はらん)万丈。何もかもうまくいくものではない。とにかく信じています」。

JBCの判断を待ち、ゴーサインが出ても、そこからプロテストとハードルは続く。女性から男性へ、前例のない厳しい道のりだが「前向きにやっていきたい」と明るく語った。【実藤健一】