プロボクシングWBA世界フライ級2位アンソニー・オラスクアガ(24=米国)が急きょ決まった自身初の世界挑戦に胸を躍らせた。4月8日、東京・有明アリーナでWBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(31=BMB)に挑戦することが29日に正式発表された。30日には東京・新宿区の帝拳ジムで練習を公開。アマで48勝16敗で国体優勝の経験もあるプロ2勝(2KO)の小川寛樹(24=帝拳)と2回のスパーリングを披露した。

スピードと力を兼ね備えた動きをみせたオラスクアガは「今はワクワクしている。世界王者になることが目標でチャンスが来た。チャンスが2度と来ないかもしれないので受けた。受けたからには勝ちたい」と強い決意を示した。

寺地と3団体王座統一戦に臨む予定だったWBO世界同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)がマイコプラズマ肺炎で来日不可能となり、白羽の矢が立った。4月15日に韓国で試合が組まれていたため、今月13日から日本で調整していた。1週間前倒しの急ピッチ調整となったが、指導するルディ・エルナンデス・トレーナーは「韓国の試合に向けて練習は続けていた。それが1週間早まり、ライトフライ級になっただけ。減量の問題もない」と強調した。

昨年9月、オラスクアガは米ロサンゼルスで練習した寺地とスパーリングしている。オラスクアガは「これまでは対戦相手として意識したことはなかったが、今回のオファーを受けて受けない手はないと思った。今は対戦をイメージするようになった。強い選手であり、ジャブが強い選手だと知っている。自分にとっても最高の試合になるだろうし、素晴らしい機会になると思う」と気持ちを引き締めた。

同じエルナンデス・トレーナーに師事する前WBO世界フライ級王者中谷潤人(M・T)とは「盟友」となる。14~15歳の頃からの知り合いで、中谷が同トレーナーのもとに練習に来た際には一緒の部屋で生活していたそうで「本当に家族みたいな関係です」と笑顔。昨年11月に初来日し、中谷のスーパーフライ級転向第1戦も会場で見守っていた。

アマ戦績は23勝1敗で、全米アマのフライ級1位を下した後、プロに転向した。プロ戦績は5勝(3KO)ながらも、既にWBAランキングで2位と上位に入るなど実力は評価されている。エルナンデス・トレーナーは「本来なら6試合から10試合ぐらいで世界挑戦させたいと計画していたが、思ったよりも早く来たというのが今回の試合」と大きな期待を寄せていた。