同級1位の田中恒成(28=畑中)が、大差判定勝ちで日本選手3人目の4階級制覇を成し遂げた。

同級2位クリスチャン・バカセグア(26=メキシコ)から8回にダウンを奪うなど圧倒。ジャッジ1人は11点差の判定3-0で約3年2カ月ぶりの世界戦で王座奪取を果たした。21戦目での4階級制覇は6階級制覇王者のオスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る最速。今後は唯一の黒星を喫したWBA同級王者井岡一翔(志成)もターゲットに、同級の4団体ベルト統一を目標に掲げた。

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右の拳を振り上げた。8回、左ボディーからの連打に体をゆがめたバカセグアにダウン判定。それまでも優位に試合を進めていた田中が勝利を確信したパフォーマンスだった。

ミニマム級からスーパーフライ級、すべてWBOのベルトをそろえた。21戦目の4階級制覇は6階級を制した「ゴールデンボーイ」オスカー・デラホーヤの24戦目を超える世界最速。「これがほしかったんでうれしいです」。20年大みそか。12戦目の最短3階級制覇など破竹の勢いを持って井岡に挑み、完璧にはね返された。「3年2カ月、苦しい時間だったが、この時間があってこそだと試合が終わった今、思う」。初めて味わった長い無冠の時間をあらためてかみしめた。

初めての敗戦から自身に改革を課した。チーフトレーナーを父の斉氏から村田大輔氏に変更した。その村田氏は「明確な課題はメンタルの部分。(井岡戦も)負けは想定できていなかった。多少のおごりはあったと思います」。ゼロからのスタートを切った。

元世界王者の畑中清詞会長(56)は「井岡に負けたんは力じゃないんよ。ガードの差」と言う。まず守りから徹底的に見直し、やり直した。今回の「闘牛」の異名を持つ相手はシン田中を試す上で最適だった。ただ突進してくる相手を華麗にさばきながらダメージを与える。思い描いた展開でジャッジの支持を得た。

4階級のベルトを得た先、田中は明確に宣言した。「このスーパーフライ級で4団体を制覇する目標を持っています。その中には井岡選手へのリベンジもあります。ただ、その前にIBF王者フェルナンド・マルティネス選手(32=アルゼンチン)に勝ちたい。ベルトを2つ持って臨むのが井岡選手への礼儀」。

「KOで勝つ」と宣言していた今回の試合も、満足はできない。「(自身の力の)半分ぐらい。だれも納得していないし、こんなもんじゃない。まだまだ伸びしろあるなと。今、伸び始めたところなんで」。

完勝にも気持ちは緩めない。「3年2カ月ぶりの世界戦に勝ててうれしいけど満足できていない自分がうれしいです」。より高みを求めた登頂は、まだ1合目にすぎない。【実藤健一】

◆世界スーパーフライ級戦線 WBA王者井岡一翔は標的とするWBC王者エストラーダとの統一戦を交渉中。両陣営ともに今年7月、日本開催を目指している。なおWBC暫定王者にはカルロス・クアドラス(メキシコ/帝拳)が就く。IBF王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)は前王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に2連勝後、23年6月にジェイド・ボルネア(フィリピン)を11回TKO撃破し、他団体王者との統一戦を熱望。

◆20年大みそかの井岡-田中戦VTR 田中が世界4階級制覇を目指し、2度目防衛戦となったWBO世界スーパーフライ級王者井岡に挑戦。プレッシャーをかけて攻め込むと、対する井岡もジャブと右ショートパンチで応戦。4回に左フックを被弾した田中は5回、カウンターパンチを浴びてダウンを喫した。6回には左フックを浴びて再びダウンを許すと、8回に井岡の右ストレート、左フックをあごに被弾し、そのまま8回1分35秒、レフェリーストップによるTKO負け。プロ初黒星を喫した。

【ボクシング】田中恒成、日本選手3人目の4階級制覇!バカセグアに3-0判定勝ち/ライブ詳細