<プロボクシング:WBC世界スーパーフェザー級王座戦12回戦>◇26日◇愛知・日本ガイシホール

 元WBC世界フェザー級王者粟生隆寛(帝拳)が、王者ビタリ・タイベルト(ドイツ)を3-0の判定で破り、日本人ボクサーとしては史上7人目の2階級制覇を成し遂げた。3回にカウンターの左ストレートでダウンを奪うと、その後も伸びのある左、的確なボディー攻撃で、アテネ五輪銅メダルの実力者にも攻略の的を絞らせなかった。11回以降は、捨て身のKO狙いに来た相手にも逃げず、打ち合って終了。ジャッジ3者が3~5ポイント差をつけたが、倒しきれなかったこともあり、「自分では納得いっていないです。もっと行けただろうと思う」と反省も忘れなかった。

 昨年3月に奪ったWBC世界フェザー級王座は、1度の防衛も果たせず陥落。1階級上げての再出発は、減量苦からも解放されて絶好調だった。10月には兄のように慕う長谷川穂積の母裕美子さんが死去。優しく接してくれたもう1人の母へ、供養の勝利にもなった。リング上での勝利者インタビューでは「長谷川さんのお母さんが亡くなった。長谷川さんを勇気づけられたら、という気持ちだった」と号泣した。