全日本の武藤敬司(45)が8年4カ月ぶりのIWGP王座奪取でマット界の活性化に乗り出す。27日に新日本のIWGP王者中邑真輔(28)に大阪で挑戦する。26日は全日本の福山大会で8人タッグ戦に臨み、反則勝ちを拾って大一番に弾みをつけた。武藤は「プロレス界にうねりを引き起こす」と宣言。至宝奪回で古巣との“1人大連立”を目指す。

 視線の先に新日本の至宝をとらえた。武藤は極悪軍団ブードゥーマーダーズの4人に向け次々とシャイニング弾を発射。大一番に向けた意気込みを体で表現した。相手の反則によって勝利を奪い「オレが描いたストーリーを全部のみ込んでやる」と8年ぶりのIWGP戦に鼻息を荒くした。

 「ベルトを取ったら波紋が起きるでしょ。1人大連立だよ」。異例ともいえる今回の挑戦を政界用語をもじって表した。同王座を奪えば古巣への定期参戦が浮上。さらに全日本VS新日本の全面抗争に発展する可能性もあり、人気低迷が続く業界の活性化につながる。

 3月にはスペインから参戦オファーが届き、今月に入って5月上旬の新韓国プロレスでカート・アングルとの対戦要請もあったが、いずれも断った。試合は国内優先主義で、タイトル奪取に執念を燃やす。

 「頼られるのはレスラー冥利(みょうり)に尽きる。存在感を示したい。期待に応えられるようにしたい」。中邑とは04年10月のタッグマッチが唯一の顔合わせ。マット界に一石を投じる初のシングル戦に注目が集まる。【大池和幸】