タレントで格闘家のボビー・オロゴン(42)の弟アンディ・オロゴン(25)が、今月6日に山手線車内で女性の下着を盗撮していた男を取り押さえていたことが16日、分かった。アンディはK-1などで活躍中の格闘家。不審な動きを見せていた男の靴の甲部分に開いていた穴を発見し、盗撮を見破った。警視庁原宿署で状況を説明した際には「アフリカ人だから目がいいんです」と胸を張ったという。兄ボビーも弟のお手柄を喜んでいるという。

 アンディは6日午後2時ごろ、高田馬場駅からJR山手線に乗り込み、いすに座っていた。新宿駅で乗車してきた女性がつり革につかまり目の前に立ち、その後ろに男が見えた。顔が上を向いているにもかかわらず、右靴をあちこち動かす男の不審な行動を見逃さなかった。キックボクサーの習性か、足の動きには敏感だった。女性が立ち位置を変えると、男の右靴も呼応して動く。その位置は常にひざ上丈のスカートをはいた女性の両脚の間だった。

 黒いスポーツシューズの右足甲部分を凝視すると、直径約5ミリの穴が見えた。盗撮を確信したが、電車は代々木駅に差し掛かっていた。アンディは「声を掛ければドアが開いた時に逃げられる。代々木駅を発車したところで捕まえようと思った」。発車直後、女性に「後ろの人が盗撮していますよ」と声を掛けたが女性はきょとんとした表情を見せるだけだった。

 アンディは素早く立ち上がって男の腰に手を伸ばし、ベルトをつかんだ。「あなた盗撮してるでしょ?」。言葉は丁寧だったがベルトをつかむ手は緩めなかった。原宿駅で男を駅員に引き渡し、被害女性とともに同駅で降りた。男は警視庁原宿署署員に東京都迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕された。

 調べによると男は茨城県ひたちなか市に住む会社員中根亮容疑者(34)。盗撮マニアのサイトを見て、2月に東京・秋葉原で道具一式を購入。会社が休みだったこの日、右腰のポーチバッグに入れたデジタルカメラとコードでつないだピンホールカメラを右靴の甲部分に仕込み、山手線に乗り込み、動画を撮影していた。「これまでに山手線車内や書店、パチンコ店などで50人くらい盗撮した」と話しており、自宅のパソコンには200件以上の盗撮映像が保存されていた。

 16日、都内で取材に応じたアンディは「どう見ても怪しかった。取り押さえるのに汗かいちゃった。男として当然のことをしただけですが、日本文化が好きなのに、こういうことがあると悲しい」と複雑な表情だった。原宿署では「どうして分かったの」と聞かれた時に「アフリカ人だから目がいいんです」と冗談交じりに答えたという。視力は左右ともに2・0程度という。

 事件当日の午後2時は出場予定だった「K-1

 MAX」の記者会見の開始時間だったが、けがのため欠場するアンディは私用で山手線に乗っていた。東京都新宿区に住む被害者の女性会社員(24)からは警察を通じて礼を言われた。兄のボビーは「やっぱりおれの弟。さすがだ」と喜んでいるという。