WBC世界フライ級王者の内藤大助(33=宮田)が「亀田バッシング」に「待った」を掛けた。劇的な逆転KOで3度目の防衛を飾ってから一夜明けた7月31日、都内で会見。世界戦後のリングに乱入し、挑戦要求した同級3位の亀田興毅(21)に対しこの日、日本プロボクシング協会や中継したTBSに抗議が殺到したが、内藤は亀田の行動を容認し、逆に、そのプロ意識を認めた。

 敵対を続けてきた因縁の相手を擁護した。逆転KO劇の防衛から一夜明けた会見。世界戦後の亀田の直接行動についての批判が高まる中、内藤は「悪く言うのはやめとくよ。パフォーマンスは自由だし、賛成だからね」と「大人の対応」を見せた。

 「なぜ関係ない人間がリングに上がるのか」「内藤のインタビュー中に失礼だ」など、この日は放送したTBSだけでなく、日本プロボクシング協会にも、100件以上の抗議電話が殺到。アンチファンも多いだけに、バッシングは一気に広がったが、当事者に怒りはなかった。「『こら、内藤』のような度が過ぎた行動は良くないけど、あれくらいはいい。プロなんだから」と批判の声を収めるように言った。

 もともと、亀田のパフォーマンスは認めてきた。人を傷つける行為は別だが、積極的にアピールする行為自体は賛成だった。内藤自身も、日本王座2度目の防衛戦で、お笑い芸人の「ギター侍」こと波田陽区をまねたポスターを作製。亀田興毅に「逃げられて、残念!

 たまには日本人とやろうよ…斬り」と対戦を呼び掛けたことがある。

 人気商売のプロとして、自分を売り込む重要さは理解する。「亀田兄弟がボクシングを広めたことも事実だしね。プロはファンを楽しませるべきだし、何もしないのは、プロではない」と続けた。だからこそ今回、亀田の乱入を受け入れ、挑戦要求に「やるぞー」と観客に拳を突き上げた。「オレがしらけたら寒いでしょ。空気を読んだよ」と笑顔を見せた。

 ただし、侮辱され続けた過去まで忘れることはない。その時が来れば、憎しみを持って迎え撃つ覚悟はある。この日の会見では対戦を明言しなかったが、最後に「ファンが喜ぶカードはしていきたい」と、前夜のリング上と同様、近い将来の直接対決実現に前向きだった。【田口潤】