<戦極:第四陣>◇24日◇さいたまスーパーアリーナ

 ライト級のエース五味隆典(29=久我山ラスカル)が、課題の残る判定勝ちを収めた。団体初メーンとあって、房昇宦(25=韓国)を相手に立ち技に終始。3-0で圧勝したものの、本来の豪快さは影を潜めた。ライト級GPシリーズでは、北岡悟(28)が1回31秒で1本勝ちしたのをはじめ日本人選手が4連勝。同GP優勝者は、ニューイヤーイベントで五味と初代王座を懸けてベルトを争う。

 勝つには勝った。だが五味の表情に明るさはなかった。自身の実績には遠く及ばない房を相手に3-0の判定勝利。花道を引き揚げる際には両手を合わせてファンに「ゴメン…」と控えめにあいさつ。初代ライト級のベルトを狙う五味にとっては、課題の残る王者への道となってしまった。

 K-1かと見まがうほど、スタンド戦に終始した試合だった。ボクシングをバックボーンに持つ相手に対して「試合を動かそうと思って」と、初回から右ローキックを主体に対抗。2回に右ボディーアッパーをさく裂させてパウンドの体勢になったが、15分間を通してグラウンド戦となったのはこの一瞬だけ。「いいところで決められないのが僕の格闘技人生」。団体初のメーンを任されたことにKO勝利で応えようとしたが思うような展開に持ち込めないまま、3回終了のゴングが響き渡った。

 決して万全の状態ではなかった。7日には公開練習を予定していたが、夏バテ気味で中止。さらに「最近は(パンチを)もらうと、フラつくようになったんだよね」と自嘲(じちょう)気味に話していた。PRIDE初代ライト級王者に輝くなどで「世界最強」と言われてきたが、来月22日には30歳を迎える。試合後の会見にも「蹴りが変なところに入って」と右足を引きずりながら姿を見せた。

 だが「こんなもんじゃないよ。ベルトは取るから、大丈夫。GPシリーズに残った日本人4選手には負けない」と気丈にコメント。もう1度仕切り直して栄冠をつかむことを約束した。【山田大介】