「総合格闘技最強」を目指す男も、母親にはたじたじ…。3日にプロ転向を表明する北京五輪柔道男子100キロ超級金メダリストの石井慧(21=国士舘大)が1日、母美智子さん(48)に諭されて計画を変更し、兵庫・尼崎市で行われた全日本学生体重別団体優勝大会に来場。スーツ姿で観客席から仲間を応援した。

 石井は10月31日に全柔連に、事実上の柔道引退を意味する強化指定選手辞退届を提出したばかり。この日は混乱を避けるためにもジムで体を動かす計画を立て、大会最終日の2日に来場するつもりだった。しかし、母美智子さんにけじめをつけるよう諭された。「母に学生最後の大会なんだから(応援に)行ったほうがいいと言われたんです…」と石井。グレイシー柔術に「入門」して猛者の中で自分を磨こうと考えているが、母にはかなわなかった。

 一昨年と昨年は自らが原動力となって優勝に導いた。だが、今年は出場選手登録されていないため、午前11時から夕方まで観客席から仲間の奮戦を見守った。殺到する報道陣には「(国士舘大は)いい感じだった。優勝できると思うし、頑張ってほしい」とまじめに話した。だが、16強進出を見届けて会場を去る間際には「精神的にも、肉体的にも、技術的にも自分を上回る選手はいませんでしたね」といつも通りの「石井節」もチラリ。公園を訪れた家族連れからの声援に手を振って応えるなど、余裕を漂わせていた。【菅家大輔】