全日本時代に三沢さんと数々の激闘を繰り広げたスタン・ハンセン氏(59)は三沢さんの訃報(ふほう)に接し、言葉を失った。米テキサス州の自宅で電話取材に対し「何だって!

 本当」と言うと、しばらく言葉が続かなくなった。数日前には息子のシェーバーさん(21=ベイラー大)が野球の米ドラフトでマリナーズから6巡目(全体173位)で指名を受けて喜んだ。「喜んだ数日後、こんな悲しい知らせが届くなんて」と声を震わせた。

 ハンセン氏は、三沢さんの得意技のエルボーを今も思い出すという。「あの凄まじさが、わたしのあごに残っている。昨日のようにね。特に92年の夏のタイトルマッチは忘れられない」。92年8月22日、同氏は全日本の3冠ヘビー級選手権試合で三沢さんに敗れ、王座を明け渡した。「エルボーをあごに食らい、場外に吹っ飛ばされた。それを知ったのは負けてから。あのエルボーで、オレは初めて記憶をなくしたんだ…」。

 三沢さんが全日本退団後は疎遠になり、望んでいた再会はかなわなかった。「タフな戦いをありがとう。安らかに眠ってください」。陽気な男の声は最後まで沈んだままだった。(デーブ・レイブル通信員)