三沢カラーは永久に不滅だ。13日に試合中の事故で急死した、ノア社長でプロレスラーの三沢光晴さん(享年46)が団体旗揚げ時に採用したエメラルドグリーンのリングマットを、ノアが今後も使い続けることが21日、分かった。エメラルドグリーンは三沢さんのトレードカラー。ノア側は、選手のコスチュームにおいてもあえて封印せず、三沢さんの魂だけではなく、トレードカラーも受け継ぐ選手の出現を期待した。22日には、三沢さんの死後初の関東地区開催となる後楽園大会が行われる。

 エメラルドグリーンのリングマットは、今後もノアの象徴として生き続ける。三沢さんが新団体を旗揚げした当時、日本の格闘技界のリングマットは「青」が定番だった。三沢さんは「目に優しい」「他団体にない」という理由でエメラルドグリーンを採用した。そのカラーは団体の象徴として定着。関係者は「もちろん、今後も使い続けますよ」と話した。

 エメラルドグリーンは三沢さんのトレードカラー。尊敬するドイツ出身のレスラー、ホースト・ホフマンが使用していたことを理由に、コスチュームなども同色を基調としていた。三沢さんのカラーとして定着しているだけに、ノアでグリーンを使う選手はいない。しかし、関係者は「(何色でも)着るのは自由ですから。今後、着る選手が出てきてもいいでしょう」と、あえて封印しないことを明言した。

 三沢さんは00年7月、ノア旗揚げ戦(同8月5日、東京・ディファ有明)のカード発表の際「自由という信念を基盤にやっていく」と団体の方向性を打ち出した。そのポリシーは不変。全日本時代に三沢さんと、ユニット「超世代軍」で活躍していた当時の浅子覚氏(現ノアトレーナー)は黄緑色、デビュー当時の丸藤正道も薄いグリーンを基調としていた。実際、三沢さんは「その色を使うな」とは一言も言わなかった。

 「自由、信念」の三沢魂とともに受け継がれるエメラルドグリーン。関係者は「社長は小橋、秋山選手に続く、団体を引っ張る次の世代の台頭を望んでいた」という。三沢さんは、エメラルドグリーンのロングタイツを継承する選手の出現を、天国で望んでいるかもしれない。【塩谷正人】