現役時代カリスマ的な人気を集め、現在は総合格闘技団体リングスCEOを務める前田日明氏(50)が、来夏の参院選に民主党から立候補することが28日、分かった。比例代表の目玉候補の1人として、近く発表される見通しだ。前田氏は以前から政治への関心が高く、今夏の衆院選をはじめ国政選挙で民主党候補を応援、党内の人脈も広い。参院選必勝を目指す小沢一郎幹事長(67)の“勝負球”として、政界に殴り込むことになりそうだ。

 関係者によると、前田氏は民主党の比例代表候補の1人として立候補に向けた調整が進んでいる。28日には、参院選の選挙対策を一手に仕切る小沢幹事長が、石井一選対委員長と協議し、近く比例代表の新人候補約10人について、公認を内定する方針を確認。この中に前田氏も含まれているとみられる。候補者の顔ぶれは年内にも党から発表される見通しで、来年1月16日、政権交代後初の党大会で正式にお披露目されることになりそうだ。

 前田氏は、現役プロレスラー時代から現在までカリスマ的な人気があり、知名度は抜群。かなりの読書家でも知られ、以前から政治や教育問題への関心が高い点も評価されたようだ。過去にも、国政選挙への立候補が取りざたされたことがある。

 格闘技出身者が政界に転身する場合、これまで自民党が受け皿になるケースが多かった。最近では、大仁田厚氏や神取忍参院議員がそのケースに当たる。だが、前田氏は05年衆院選から民主党候補の応援を続けており、今夏の衆院選では北海道から九州まで全国を回り、応援に声をからした。07年参院選では、応援に入った多くの激戦区で候補者が当選。そのマイクパフォーマンスに衰えはない。

 来年の参院選は、このところ支持率が急落している鳩山内閣にとって命運を左右する戦いだ。小沢幹事長は今月20日、盛岡市での会見で「参院選では過半数を目標にしてやりたい」と述べ、61議席以上の獲得を目指す方針を示している。比例候補は、集票力が必須要素ともいえるだけに、知名度も実力も兼ね備えた前田氏に対する党側の期待は大きい。