<プロボクシング:日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦>◇20日◇東京・後楽園ホール

 不敗の強打者で日本スーパーライト級王者の亀海(かめがい)喜寛(27=帝拳)が、次元の違う強さで初防衛に成功した。初回から同級5位塩谷智行(35=レパード玉熊)にパンチを当て続け、2回に左腕を痛めながらも攻撃の手を緩めず、4回1分45秒TKO勝ち。戦績を16戦全勝(14KO)と伸ばした。あまりの強さにすでに国内では挑戦者がいないため、次戦は10月にも世界ランカーレベルの選手とテストマッチに臨む。

 一方的な亀海の猛攻に、レフェリーはたまらず4回で試合を止めた。だが歓声はまばらだった。序盤からだれもが亀海勝利を確信できるほどの圧勝だった。2回に左腕を痛めたが、変則サウスポーの塩谷がガードしていないところに強打を当て続けた。体を反らせてパンチを見切る高い防御勘も見せつけた。それでも試合後の王者に笑顔はなかった。「自分の力を出し切れなくて、ふがいなくて。すいません」と、まだ不満そうだった。

 自分への厳しさは高い志の裏返しだった。「王者といえるのは世界だけ」と日本王座奪取後も1度もベルトを腰に巻いていない。自宅でも棚の上に置き、この日も試合後の控室では隣のパイプイスに置いた。「世界を目指しているんだからパーフェクトな内容を目指さないと」。もっとも世界的プロモーターの本田会長が「間違いなく(世界に)いける素材」と太鼓判を押すほど、潜在能力はずぬけている。

 16戦全勝でKO率8割7分の強打の王者に、すでに国内には挑戦者がいない。次戦は10月に世界ランカークラスと対戦する予定。本田会長は「来年後半くらいまでに世界レベルに仲間入りできるかどうかのテストマッチ」。亀海も「結果を残せばチャンスは巡ってくると信じている」と力を込めた。【浜本卓也】