WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃(34)ら帝拳ジムの世界王者3人が、年内の防衛戦を海外で行うことが9日、濃厚となった。8日のWBCトリプル世界戦から一夜明けたこの日、同ジムの本田明彦会長(63)が明かした。KO勝利でV6防衛した西岡は10月に米ラスベガス、V1防衛したWBC世界スーパーフェザー級王者粟生隆寛(27)の2度目の防衛戦は今夏ごろに海外で、今年1月にWBA世界スーパーバンタム級王者となった下田昭文(27)も6月に米国でのV1戦を行う予定だ。

 東日本大震災の影響や余震により、外国人が首都圏への来日に難色を示す現状がある。また首都圏の電力問題も解消されていない。ジム間で協力関係にある長谷川穂積(30=真正)がWBC世界フェザー級王座の防衛に失敗し、関西で複数世界戦を開催しにくい事情もできた。本田会長は「関西はない。東京で開催できない場合は海外。今の状況では東京は難しいでしょう」との見通しを口にした。

 下田のV1戦が決まれば、日本人世界王者として初の米国本土での防衛戦となる。また西岡が10月にラスベガスでV7戦となればボクシングの本場で初めて防衛戦を行う日本人王者となり、夢は広がる。西岡は「ラスベガスのメーンでやってみたい。防衛戦をやることにワクワクする」と心躍らせた。また粟生も「どこでも気にしない。以前、銃声の聞こえるベネズエラでも試合してますから」と海外防衛戦に前向きな姿勢を示した。【藤中栄二】