<新日本:大阪大会>◇16日◇ボディメーカーコロシアム◇9試合◇6850人

 IWGPヘビー級選手権で、挑戦者の前王者・棚橋弘至(35)が王座奪還に成功した。3度目防衛を狙った王者オカダ・カズチカ(24)から3カウントを奪い、2月に王座を明け渡した大阪でリベンジに成功した。棚橋は6度目の戴冠で、藤波辰爾と並ぶ史上最多。7月1日の全日本との合同40周年記念大会(両国国技館)では、橋本真也と史上最多20回で並んでいる通算防衛回数の新記録に挑む。

 棚橋がエース復権に成功した。オカダの必殺レインメーカー(短距離式ラリアット)をかわし、スリングブレイドからハイフライフローという黄金コースでフォール勝ち。4カ月前にオカダに奪われたベルトを、同じ大阪で取り戻した。満員の観衆を前に「俺は大阪のこの風景を一生覚えてます」と感慨にふけった。

 プロレス愛をこの一戦に示したかった。4月17日に立命大プロレス同好会の同級生をがんで亡くした。2年半の闘病生活の間、大阪遠征のたびにその友人を見舞って食事。1度就職しながら、教師になる夢をかなえた友人は、棚橋にとって心の支えでもあった。3月末に友人のツイッター更新がストップ。意を決して電話した。「オレ、今から試合行ってくるわ」と言う棚橋に「うん。頑張ってな、ターナー」と答えてくれたのが最後になった。

 史上最多タイとなるIWGP6度目の戴冠。「俺の記録を抜けるのは俺しかいない」と高らかに宣言した。7・1記念大会では初防衛戦が待つ。この試合直後には真壁が挑戦表明など、再び棚橋を軸に新日本が回り始めた。王者は「今日からが新しい始まり。これからさらに盛り上げていく」と叫んだ。【大池和幸】

 ◆棚橋弘至(たなはし・ひろし)1976年(昭51)11月13日、岐阜県大垣市生まれ。立命大時代にレスリングを始め、99年4月、新日本入門。06年7月にIWGPヘビー級王座を初獲得。得意技はハイフライフロー。181センチ、103キロ。