<全日本:40周年記念ファイナルツアー>◇11日◇長野ホワイトリング◇9試合◇2450人

 武藤敬司(49)と蝶野正洋(49)が、9日に引退表明をしたノアの小橋建太(45)にエールを送った。ビッグバン・ベイダー(57)とタッグを組んだ武藤は「エネルギーをもらった」。蝶野は「勇気ある決断だった」と、それぞれが同じ時代を戦い抜いてきた小橋との歴史をふり返った。

 新日本の闘魂三銃士として活躍した武藤と蝶野が、全日本の四天王、そしてノアの絶対王者としてしのぎを削ったライバル小橋への思いを口にした。この日、ベイダーとタッグを組んだ武藤は「ここまで元気なんだ。引退なんて関係ない」と強がった。だが「小橋の引退は正直言ってショック。彼へのジェラシーとか、そういう思いからエネルギーをもらってきたからね。小橋建太がプロレス界からいなくなる現実は、寂しいね」と話した。

 現時点で、小橋の最後の試合の今年2月19日の仙台ALL

 TOGETHERでは、一緒にタッグを組んで戦った。「小橋建太というプロレスラーの長い戦いの歴史の最後に関わったのは俺だからね」と誇らしげに胸を張った。引退試合への出場については「オファーが来たらね。月面水爆の共演は、あいつが俺をあおるから。その時に考える。俺は、まだまだ頑張るよ」と話した。

 蝶野は「20年以上戦っているプロレスラーは、みんなけがとも闘わなくてはならない。小橋君も首の手術で、限界が来た。無理をしても、人生というものがある。勇気のある決断を自分自身でした」と話した。

 思い出の一戦には、03年5月2日に新日本の東京ドームで小橋に挑戦したGHCヘビー級選手権を挙げた。アルティメット・クラッシュと名付けられた大会で、プロレス以外に総合格闘技の試合も行われた。「あれは総合格闘技か、プロレスかという大会だった。俺も小橋君も、いかに戦ってプロレスの素晴らしさを見せるかがテーマだった。小橋建太と真正面から向き合って、自分の中で記憶に残る試合だった。小橋君と戦った選手は、みんな1つ1つの試合が思い出に残っているんじゃないかな」。そして引退後の小橋については「今度は社長になってノアを引っ張ってほしい。それが選手として全うした者の役目。後輩のためにもなる」と話した。【小谷野俊哉】