旧PRIDEミドル級王者ヴァンダレイ・シウバ(36=ブラジル)が熱いエールを受け取った。3月3日にさいたまスーパーアリーナで開催される「UFC

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 2013」でブライアン・スタン(32=米国)と対戦するシウバはBS朝日の収録で、桜庭和志(43=Laughter7)と再会。名勝負を繰り広げ、練習仲間として親交を深めた好敵手の言葉に刺激を受け、6年6カ月ぶりの日本での試合へ決意を新たにした。

 桜庭の顔を見たシウバは、満面の笑みで近寄った。開口一番、「国際電話してきたよね」。「酔っぱらってさ」という桜庭の言い訳に「会話にならなかった」と苦笑し、一気に場が和んだ。3度の激闘を繰り広げたが、その後、シウバの本拠地ブラジルのシュート・ボクセ・アカデミーで一緒に練習した間柄。深い絆で結ばれた2人は01年3月の初対戦時を本音で語った。

 シウバ

 当時の桜庭さんは世界一有名な格闘家。重圧はあったが、オレは失うものはなかった。重圧は桜庭さんにあったはず。

 桜庭

 グレイシーに連勝していたし重圧はあった。勝ちたいけど負けたらどこかで「おいしい」とも思った。負けて重圧をなくしたい、と。試合が止められ「負けてねえ」と言ったけど、負けて「ありがとう」という気持ちはあった。

 桜庭からは「シウバというライバル的存在がいたので頑張ってこれた。結果は3敗したけど、いつか返したい、と今も練習している」と再戦を熱望された。

 シウバ

 現役を続ける気があれば機会はある。UFCにくれば、桜庭さんと良い試合ができる。低迷する日本格闘技で、桜庭さんは必要とされている。プロレスから総合に帰ってきて。

 桜庭

 その前に日本でタッグチームを組みましょう。合体技もやろうよ。

 シウバ

 いいよ。プロレスをやって総合をやりたい。我々の使命は新しい世代にチャンスをつくり、伝えることだから。

 桜庭

 じゃあ(シウバと)あと2戦はやりたい。

 シウバ

 3戦でしょ。

 桜庭

 ボクが3度負けてるからか。きついな、じゃあ77キロリミットでやろう。

 冗談交じりの固い約束を交わした後、シウバは3月3日の来場をお願いした。「桜庭さんはお客を盛り上げて楽しい試合をする。桜庭さん以来、そういう選手は誰もいない」。その戦友が見守る中、自らの好ファイトで日本の格闘技を盛り上げる決意を固めていた。【取材・構成=藤中栄二】

 ◆桜庭和志(さくらば・かずし)1969年(昭44)7月14日、秋田県生まれ。秋田商-中大とレスリング部で活躍。92年7月にUWFインター入門。98年に高田道場へ移籍。昨年は新日本マットにも参戦。180センチ、87キロ。

 ◆ヴァンダレイ・シウバ

 1976年7月3日、ブラジル生まれ。96年に総合格闘家としてデビュー。99年のPRIDE初参戦から04年まで同団体で負けず「絶対王者」と呼ばれた。180センチ、93キロ。