【済州(韓国)20日=藤中栄二】WBA世界バンタム級王者の亀田興毅(27=亀田)が二者択一の悩める胸中を明かした。19日に8度目の防衛に成功し、一夜明けて同地のホテルで会見。同級14位の孫正五(32=韓国)からダウンを奪われるなど苦戦の末に2-1で判定勝ちし「白紙」とした今後について、2つの方向性を示した。1つはWBAから対戦指令のある同級スーパー王者アンセルモ・モレノ(28=パナマ)との王座統一戦、もう1つは4階級制覇に向けてスーパーフライ級への転級になる。

 孫とのV8戦で交渉が延期となったモレノ戦。相手陣営は来春にもパナマで開催したい意向を持っているが、興毅は「強い選手だからやりたい」と意欲を示した。自身初の海外防衛戦で敵地での難しさを痛感したが「パナマでも、日本でもどっちでもやるよ。今回の経験もあるし」と、交渉次第ではアウェーで統一戦に臨む姿勢もみせた。

 一方で、1階級下のスーパーフライ級への転向も頭にある。フライ級から2階級上のバンタム級に上げて8度防衛し、体が大きくなりつつある。興毅は「減量も楽でなくなっている。なるべく早く(減量できるうちにスーパーフライに)いきたいな。まあ、ゆっくり考える」と熟慮を重ねる意向。何とか死守したWBAベルトを肩にかけ「負けて帰るのと勝って帰るのでは違う。まだ運がある。ボクシングの神様は見放していない」とプラス思考でアウェーの苦戦を受け止めようとしていた。