<プロボクシング全日本新人王決勝戦:スーパーライト級>◇22日◇東京・後楽園ホール

 珍名の全日本新人王が誕生した。西日本代表のジャンボおだ信長本屋(のぶながしょてん)ペタジーニ(26=六島)が東日本代表の藪晋伍(27=ワタナベ)を4回2分1秒、TKOで下した。足を使った攻撃に苦しんだが、左フック1発でダウンを奪い、そのままレフェリーストップ勝ちした。

 鮮やかな逆転劇だった。4回、ジャンボおだの両拳が敵をとらえた。足を使い、手数の多さで優位に立った藪をボディー攻撃でぐらつかせた。連打でロープ際に追い込み、左フックでダウンを奪取。崩れるように倒れた藪を確認し、試合を止めたレフェリーの姿を横目に小さくガッツポーズ。「私生活も、ボクシングもだらしなく、こんな試合になりました。判定なら負けていました」と冷や汗ものの試合内容に苦笑した。

 本名は小田貴博だが、所属ジムの枝川会長に付けられた多くの愛称がつながって長いリングネームになった。ジャンボは体の一部分が大きいことが由来。おだ信長は天下統一を意味し、信長本屋は関西地方にある信長書店をイメージ。練習生時代、ふた回り年上の女性と交際していたことで、24歳年上の女性と結婚したプロ野球元ヤクルトの選手名ペタジーニが付け加えられた。「初めは恥ずかしかったが、目立ちたがり屋なんで」と報道陣を笑わせた。

 強盗と傷害事件を起こし、17歳から1年半、少年院で過ごした。退院後、枝川会長に拾われてボクシングを始めた。昨年、初めて新人王に挑戦も西日本の決勝戦で初黒星を喫した。引退を考えたが、大みそかに井岡一翔の世界戦を観戦し「オレがあのリングに立つ」と、現役続行を願い出る手紙を同会長に書いた。再起を誓って今年、新人王に再挑戦し、文句なしの新人王となった。「この名前がラスベガスでコールされるのが会長の目標。自分も世界を目指したい」と真顔で目標を掲げた。【藤中栄二】