「ダイエット主夫」で3階級制覇だ。30日にWBC世界ライトフライ級王座決定戦(東京体育館、日刊スポーツ後援)に臨む、前同フライ級王者八重樫東(31=大橋)が20日、横浜市内のジムで練習を公開した。1階級下げてのタイトル戦に向け、約10キロにおよぶ減量が大きなハードルとなる。今月から試合に集中するため、家族と離れジム近くのマンションで1人暮らしをスタート。徹底した栄養管理で、最高の体を作り上げる。

 八重樫は3階級制覇の偉業に向け、減量を「壁」と表現した。体調管理に集中するため、今月上旬から妻と3人の子供と離れ、ジム近くで1人暮らしを開始。これまで2週間だった減量期間を1カ月に延長し、完全自炊の「ダイエット生活」を送る。食事は毎食摂取カロリーを計算する徹底ぶりで、1日1500キロカロリー以下を意識。前夜のメニューは、サラダ、鶏の軟骨、海藻、昆布、こんにゃくを炒めたもの、玄米だった。

 ミニマム級、フライ級で2階級制覇を達成し、難しいとされる1階級下げての挑戦。体重の上限が48・9キロのライトフライ級における、フライ級との差約1・8キロは、数字以上に大きくのしかかる。それでも31歳のベテランは「いろいろな経験をしてきた。うまく調整できると思う」と力みはない。

 飽きがこないように味付けを工夫しながらも、ドレッシングはノンオイルのものを選択。「しょうゆを使うか使わないかなど、少し工夫すれば、その分量を多く食べられる」と説明する。買い物は最大の気分転換で「自分でいろいろ考えて作ると気も紛れるし、楽しい。もはや主夫ですね」と笑顔をのぞかせた。

 9月のローマン・ゴンサレスとの壮絶な打撃戦によるダメージを考慮し、スパーリングは通常よりも少ない100回程度に抑えた。1人暮らしを開始した当初、部屋で「パキッ」という物音や、謎の鈴の音に悩まされた。大橋秀行会長から「ゴンサレス戦のダメージが残っているのでは」と心配されたが、「先日隣の部屋の犬とエレベーターでお会いしました」と続け、笑いを誘う余裕も見せた。

 この日の練習では強化してきた下半身を生かし強烈なパンチを披露。「自分の置かれた状況に言い訳せずに戦う」と力を込めた。リミットまでは残り4キロ。己との闘いに打ち勝ち、リングの上で勝利をつかみ取る。【奥山将志】