白鵬(30=宮城野)が、横綱としては前代未聞の「猫だまし」で、関脇栃煌山(28=春日野)を幻惑して寄り切った。

 立ち合いで両手をたたいて左に動くと、さらに突っ込んできた相手にもう1度手をたたいた。そこから、右を差し、あっけにとられたような相手を寄り切った。支度部屋では「今日は何もしゃべらないよ」と第一声を飛ばしたが「冗談だよ、冗談」と笑顔。立ち合いの意図については、報道陣の前でも手をたたき「(猫だまし)ですよ。うまくいったかどうかは分からないけどね。勝ちにつながったんでね。うまくいったと思う」と満足そう。「楽しんでます」と悪気もなく話した。

 横綱として疑問符がつく相撲内容については「まあ、それは帰ってビデオを見れば分かるんじゃない。こんなこともあるんだ、こんな技もあるってね」と話した。北の湖理事長(元横綱)が「横綱の相撲じゃない」と指摘したことについて問われると「また、変な質問だよね」とだけ答えた。